2010年7月23日 (金)

モンスター高校生

アメリカのテレビドラマ「ゴシップガール」シーズン1&2をボックス買い、遅まきながら、見始める。まずは第1話~4話まで。

これが高校生ですか?というリッチすぎるライフスタイルに、漫画的なものを感じる。みんな大人びていて、というか、ふけてて、どう見ても20代にしか見えないし。この世界観に慣れるまでもう少しガマンして見なくてはならなそうだ。

いじわるな感情をここまで行動として表面化する、というのも、なかなか現実にはない。

とかなんとかいいながら、ロングヘアのアレンジや、アッパークラスの男の子の崩した装い、ちょっとした異性の誘い方(誘わせ方)などに、目が釘付けになる。さすが、ファッションに多大な影響を与えたドラマ、という評価が高いだけある。

ストレッチリムジンで通学するクールな高校生のドラマを茶化す一方、現実は、暑苦しすぎて、かなしいのを通り越している。購入17年目にして(!)、エアコンが壊れてしまったクルマで5分のところに出かけただけで熱中症になりかけた。窓を閉めても開けても熱風。これでは危険すぎる、と車を購入することにしたが、納車が9月だと・・・。この夏は灼熱地獄を覚悟。できるだけ車を使わない低エネルギー生活を送らざるをえないようである。

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2010年7月17日 (土)

「友達」と「恋人」の違いとは?

「(500)日のサマー」DVDで。2009年を象徴するファッション映画としても多くのメディアが絶賛していた映画。ブランド臭なし、ゴージャス&セクシーは圏外、地に足がついた媚びない普通、というか、独特のいまどきの20代ファッションに、時代感があふれている。

恋人と一緒にするような行為を重ねておきながら、「あなたの恋人にはならない、あくまで友達」、というサマー(ズーイー・デシャネル)の態度が、現代の女子の恋愛観をよく表わしているのだろうか。コピー室で人目を忍んでキスをしても、イケアで手をつないで家具選びのデートをしても、セックスを重ねても、「恋人ではなく、友達」っていったい・・・。

これだけ「友達」とやりたい放題ができるんだったら、「恋人」と「友人」の線引きの基準はどこにあるのか? サマー的にはどうやら「束縛するのが恋人」であるらしいのだが・・・。恋人とも友人ともまったく同じ遊び方をするけれど、違うのはあくまで気持ちの問題、であるとしたら、双方の気持ちが食い違った時にかくも残酷なことになる。終始、トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の気持ちに寄り添ってしまって、一緒に傷ついてしまった(苦笑)。複雑。サマーにはとうてい感情移入できないなあ、と思ったのは、世代のギャップでしょうか。

語りのスタイルも、繊細に知的に構成されているのに、さらりさらりと流れていくような印象。斬新さを押し付けることもなく、巧い。と思ったら、監督のマーク・ウェブはこの作品ののち、「スパイダーマン4」に抜擢されているとのこと。大作でも才能を発揮することを祈る。

ヒロイン像も、恋愛観も、ファッションも、映像も、セレブカルチュア全盛時代とはすっかり一変したことを表現するような、「時代のスタイル」を感じさせる映画。

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2010年7月13日 (火)

「何をしていたか聞きたい?あなたの人生が変わるかも」

韓国映画「シークレット」、8月の公開に先駆けて一足先に見る機会をいただく。

監督・脚本がユン・ジェグ、出演が、チャ・スンウォン、ソン・ユナ、リュ・スンニョン、キム・イングウォンほか。

組織のナンバー2が惨殺された現場に向かった敏腕刑事が、そこに妻の痕跡をいくつも発見する。グラスについたピンクバイオレットの口紅、片方だけのイヤリング、上着のボタン…。必死に痕跡を隠そうとする刑事は、過去に不倫のあげく子供を事故で死なせたことがあり、妻に対して心の負い目を追っていた。

話が進めば進むほど謎が謎をよび、緊迫感のあるアクションがとぎれず続く。

最後にようやくひと段落、とほっとしたところで、「えーっ!?」と思わぬどんでん返しがあり、さらに続いて「ええーっ!?」と謎明かしがあって、これまでの伏線がすべて「ああ、あれはそういうことだったのか」とつながっていく。

全編熱くて濃い感情がどろどろに渦巻いているのに、二度どんでん返しが続くラストがクールで、ヒヤリとした感覚を残す。巧い。やられた、という感じ。衣装もスタイリッシュで、とりわけ組織のボス、ジャッカル役のリュ・スンニョンが着る「ザ・組織のボス」の衣装がいかれていて(←ホメ)、スンニョンのキレた演技を引き立て、強い印象を残す。

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『シークレット』

8月21日(土)よりシネマスクエアとうきゅう他全国ロードショー

(c) 2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved

■配給:CJ Entertainment Japan

■PG-12

公式HPhttp://www.secret-movie.jp/

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2010年7月12日 (月)

「あなたの代わりはいない」

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」をDVDで。製作にマーティン・スコセッシやセーラ・ファーガソンもかかわっている。ヴィクトリア役にエミリー・ブラント、アルバートにルパート・フレンド。

18歳で即位したヴィクトリア女王の、アルバート公との結婚前後が描かれる。ヴィクトリア女王は中期~後期に光が当たることが多く、初期のことはあまり詳しいことは知らなかった。メルバーン卿との関係や母親との関係、国民の暴動があったことなど、はじめて知ること多。アルバート公がひたすら女王からのプロポーズを待たねばならない立場で、いったいヴィクトリアがどんなことばでプロポーズするのかと興味しんしんだったが、ごく自然なセリフで演出されていて、納得。

でもなんといっても圧巻の見ごたえは、衣装とインテリアだろう。史実に忠実で正確な、戴冠式の衣装と王冠(宝石の位置や大きさまでほぼ完璧)をはじめ、ワンシーンワンシーン異なるビクトリア朝初期の美しいウエストコンシャスな(男性も女性も)衣装の数々。とくにメンズのバリエーションが豊富なのに驚いた。ウェストコート二枚重ね、首回りのスカーフも二枚重ねで、着る方はさぞかしたいへんかと思うのだが、見るにはとても楽しい。チェックのトラウザーズや、刺繍入りジャケットなど、なかなか重厚なのにカラフルである。一着一着、きちんと採寸して仕立ててあるようで、俳優たちの身体にぴったりと合っている。衣装はサンディ・パウエルの仕事、すばらしい。

「僕の代わりはたくさんいるが、あなたの代わりはいない」とヴィクトリアをかばって負傷したアルバート。うらやましすぎる大きな愛。べたべたにストレートな愛のセリフも、この衣装ならさほど違和感もない。

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2010年6月23日 (水)

独裁制は、遠い国の昔の話ではない

ドイツ映画「ザ・ウェイブ」をDVDで。デニス・ガンゼル監督。

ある高校で「独裁制」をテーマとする実験的な授業が1週間、おこなわれる。ヤル気のまったくなかった生徒たちが、一週間で恐怖の変貌を遂げるまで・・・。

先生には「様」をつける。許可なく発言しない。仲間は助け合う。足ぶみをそろえる。おそろいの白シャツとジーンズを着る。ロゴマークをいたるところにつける。独特の敬礼であいさつしあう。

その一つ一つの過程を経るごとに、生徒たちの脳内に快感ホルモンが生まれているのが、表情から、うかがわれる。

頭のいいやつもわるいやつもない。階級もない。個性なんて意味をなさない社会の幸福。みな平等に所属できるところがある安心感。団結して行動することの、快さ。そしてそれらすべての半面にひそむ、底知れぬ怖さ。

最後は教師にもコントロール不可となり、とりかえしのない事態を招く。

実話に基づいた心理実験映画というジャンルでは、かの「エス」を思い出した。あれもドイツ映画だった。あの凍りつくような怖さにはやや及ばなかったものの、「服が集団心理に及ぼす強力な効果」の演出の鮮やかさという点では、この映画も負けてない。

ぜんぜんジャンルが違うけど、ふと「マシニスト」も思い出した。クリスチャン・ベイルが不眠症で激やせしていく映画。あっと驚く結末の。これもドイツ表現主義的な冷たい怖さがあった。

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2010年6月17日 (木)

「胸で歓迎し、仕切るな、焦らせ」

「男と女の不都合な真実」、見逃していたのでDVDで。わざとらしい展開で始まるが、中盤あたりから連発されるお下品なギャグ(ヒロインの体を張ったエロギャグもあり)が、能天気で楽しい。

ジェラルド・バトラーのような「デート・コーチ」がいたら、後になって悔やまれるような失敗も少なそうだ(笑)。

とはいえ、「ゲット」するための一般的なセオリーだけでは必ずしもその人にとってのベストパートナーは見つからない、というメッセージはちゃんと伝えている。最終的には、イケていない部分も含めてまるごとさらけだせる相手こそが幸福をもたらしてくれる、と。

そういう「真実」があるから、モテ本のセオリーを実践しても幸福な恋愛などついてこないんだろうなあ(で、ますますモテ本が売れていくというスパイラルが生まれる)・・・・・・とぼんやりと思いつつ、映画は映画として楽しむ。

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2010年6月 3日 (木)

国の基本はどこに? その答えの一つを模索する映画

◇映画「フラワーズ」、公開に少しさきがけて観る機会をいただく。「TSUBAKI」の広告で名高い大貫卓也氏が企画・製作総指揮、「タイヨウのうた」の小泉徳宏氏が監督。蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子、それこそTSUBAKIな女優陣が、3世代にわたるさまざまな日本女性を演じる。

蒼井優は小津安二郎風世界、田中麗奈はクレイジーキャッツ風世界、というふうに、各時代の女性を演じる女優は、それぞれの時代の映画のなかにワープしたよう。

テクニックはとても凝っているが、伝えられるメッセージは、シンプルなどまんなかの直球である。四季の折々の花のなか、心に傷を抱えながらも、つつましく覚悟を決めて一歩前へ踏み出す女性の、凛とした美しさ。日本人の命は、家族は、こうしてつながってきたのだ・・・・・・と国が砂漠のように殺伐としつつあるような今だからこそ、響いてくる。

支える男性陣も、さりげないのに強い印象を残す。蒼井優の父、仲間由紀恵の夫、田中麗奈の恋人。愛情表現は不器用だけど心根は誠実で優しいこんな男たちに支えられて、女たちは強くなれ、次世代に命をつないでいくことができた。

こういう「ど」シンプル&ストレートな映画がつくられるのも、不況の影響のひとつだろうか。よけいなものをクリーニングアップしてまずは原点を見つめてみよう、というムードを、モード界ばかりでなく、こんな映画世界にも感じ取ることができる。

バブリーな80年代に、過剰でシニカルで倒錯していた変化球映画たち(デイビッド・リンチ、ピーター・グリーナウェイ)の洗礼を受けた身には、ど直球はなかなか心のミットにおさまらないところもあるのだが、直球じゃないとメッセージが伝わらない時代、というのもおそらくあって、それがまさしく、「弱っている」人が多い今なのだろうな、とも感じる。そんな今を迷いながら生きる日本人に希望を届けたい、という作り手の姿勢に敬意を表します。

◇週刊文春書評欄掲載感謝。ささやかでも反響が途切れずに続き、苦労も報われるような思いです。

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2010年5月30日 (日)

結末ではなく、過程が

◇「ローマ」後編、エピソード16まで見終わる。これまでゆるやかに進んできたあらゆる関係が緊迫し、ぬきさしならない濃密な緊張感をはらんでいく。セルウィリアとアティアの女二人のどろどろがもう、殺すか殺されるかの(でもどっちかが死んだらドラマにならない)おそろしく凄絶なところまで行ってしまう。おくてのぼっちゃんだったオクタヴィアヌスは、なにやら立派なオーラをかもしだして、アントニーを打ち負かすまでに。歴史の教科書ではもう「結末」はわかっているんだけど、そんな問題じゃないのだ。コドモだったオクタヴィアヌスが、母の愛人の敵となるまで。この過程が猛烈におもしろい。フィクションとはいえ。

ルキウス・ヴォレヌスと部下プッロが、血まみれになって去ったあとに、悪いやつの死体が転がっている、みたいな結末のエピソードがいくつか続く。これがえもいえず爽快に思えてくる。プッロ役のレイ・スティーブンソンはなかなか魅力的である。映画界でもブレイクしてほしい。

あと6エピソード。この世界から離れたくないので、ちょっと見るのをガマンして終わりを引き伸ばすことにする。

◇産経新聞書評掲載感謝。「左右両極制覇」(笑)と編集者ともども感激。

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2010年5月18日 (火)

残虐性とエロスに満ちたローマの物語

イギリスのTVドラマシリーズ「ローマ」前編、12話見終える。ジュリアス・シーザーがルビコン川をわたり、ポンペイウスを追って滅ぼし、エジプトを支配下に置き、「神」のような高みにのぼり、暗殺されるまで。シーザーやマーク・アントニー、クレオパトラ、ブルータス、キケロ、カトー、スキピオらローマ有名人のことは、フィクションで断片的にしか知らなかったので、はじめて全体がつながって「そういうことだったのか・・・」と理解した。

男たちの権力争いに加えて、女たちのドロドロの戦いも等しく描かれ、兵士とその家族を通して平民の苦悩も同じように描かれる。今も変わらぬ人間の感情を通してローマの全貌に近づける、ほんとうによくできたドラマだと思う。

凱旋式など映画ばりにゴージャスなシーンもあるが、拷問、奸計、裏切り、暗殺、復讐、凌辱、殺戮、自殺、公開処刑、レズビアンに近親相姦、どちらかといえば残虐でスキャンダラスなシーンも多い。毎回タイトルロールにドクロが出てくるのだが、見終わったあとは、ドクロがカタカタと音をたてているような印象が残る。けっして「すっきり」はしない。どんな栄華を誇ろうと、どんな奸計をはたらかせようと、どんなに人を憎もうと愛そうと、皇帝も元老議員も兵士も奴隷も、いずれみな等しくドクロになる。

ひとりひとりの人間の描き方が紋切り型ではなく、複雑で生々しいのだが、とりわけ驚いたのが、クレオパトラ。妖艶な成熟美女を想像していたのだが(エリザベス・テーラーのクレオパトラの残像か)、このドラマではボーイッシュなショートカットで、こずるい感じもする小娘である。シーザーとの子が、「実はローマの一兵卒の子かもしれない」とにおわせる設定には度肝を抜かれる。クレオパトラのみならず、高貴な身分のアッティアも、思い切り下の身分の男に命じて交われ、と。残虐シーンのみならず、エロチックなシーンも遠慮してない。

これから後編のボックス、12話分。面白いけど、重たいので、見終わってしまいたいような、とっておきたいような、微妙な気分である。

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2010年5月 8日 (土)

「しっぽ茶」の意味はと言われても

「劇場版トリック3 霊能力者バトルロイヤル」@六本木ヒルズTOHOシネマズ。

ゆるめの各種ギャク満載でありながら、脚本は骨太で、切ない悲しみやら苦みやらもちりばめて、「火をもって火を制する」大きなトリックであっと驚かせる。「しっぽ茶」「上田人形」などのシュールな細部がきめこまかくて、それもまた妙な可笑しさにつながっている。仲間由紀恵、阿部寛にまつわる「ごくせん」「ドラゴン桜」「チキンラーメン」の楽屋落ちギャグもちらりといい塩梅。松平健のカリスマ霊能力者ぶりも、浮かずにはまっている(重厚であればあるほど可笑しさが増す)。笑って驚いて少し泣けて、の感情のジェットコースターを提供してくれる満足度の高い一本だった。

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