2010年7月14日 (水)

「ファッションを軽蔑する人は、ファッションを恐れている」

◇「クロワッサン」より著者インタビューを受ける。書いた本に関心をもっていただけるのは、とてもありがたいことである。感謝。

◇旧知の編集者ジュリちゃんと、ピエール・ガニェール@ANAインターコンチネンタルでランチ。ピエール・ガニェール・ア・トウキョウが南青山から撤退してさびしく思っていたら、こんなところに移転していた。

36階に、別天地のように広がる空間。外を見ながらゆったり並んで座れるソファ席もあり、夜のデートに使えばさぞかし艶やかなムードで過ごせるであろうなあ、と思わせる店。今日は女二人で色気のないことであるが。料理は期待以上にすばらしい。

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青山にあったときよりも、「わかりやすい美味しさ」が演出されているように感じる。メインは豚ロースのディアボロ風。辛口のロゼと一緒に。

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コーヒーについてくるプチフールも、小さいのにひとつひとつくっきりとしたパンチがある。食べられるスミレがのったチーズケーキ(上)、梅干し(!)のピューレ(中央)がとりわけ印象的だった。

スタッフの対応も、フレンドリーで、くつろげる。制服があまりにもかわいいので、どなたのデザインかと聞いてみたら、コシノジュンコさんとのこと。ポイントに赤が効果的に使われている。ソムリエの制服は黒っぽい詰襟だけど、ボタンホールの縁取りやそで口から見えるシャツにきれいな赤がちらちらと配されていて、テーブル周りでの所作を優雅に見せている。

◇「ファッションが教えてくれること」DVDで。「セプテンバー・イシュー(=9月号=広告がたっぷりとつく秋のファッション特大号)」ができるまでの、ヴォーグ編集長アナ・ウィンターを追ったドキュメンタリー。この人ならではの名言もちりばめられて(「ファッションを軽蔑する人は、ファッションを恐れている」には考えさせられる)、トレンドが実際に生み出されていく過程に関しても、発見が多い。アナ・ウィンターの働きぶりは、「一流の仕事人」のお手本として、かっこいい。

◇中央公論8号書評(by井上章一さん)感謝。

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2010年7月10日 (土)

天空の恐竜

「地球最古の恐竜展」@六本木ヒルズ森アーツセンター。初日とあって盛況だった。東京タワーを見下ろす恐竜たちは、ちゃんと「アート」になっている。同じような展示を幕張でも見たことがあるが、こんなふうに「天空」に展示されると、見え方が違う。夜景のなかにある恐竜をまた見に行きたいと思ってしまった。

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展示の最後に「恐竜最後の日」みたいなミニドキュメンタリーが放映されていたのだが、知らなかったことばかりで衝撃を受けた。

恐竜全盛期のあるとき、地球に直径10キロメートルの巨大隕石が落下する。衝突の衝撃による熱波が周囲を焼き尽くし、3日間にわたって高さ300メートルの津波を引き起こし、灰塵が地球表面を覆って「衝突の冬」をもたらしたという。それが恐竜を絶滅させた。

そして哺乳類の時代がくるわけだが、やはり巨大隕石が落下したら、同じようなことが起こるのだろうか・・・とちょっとひやりとする。

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梅雨の晴れ間の蒸し暑い土曜。真夏直前のこの時期は、けっこう好き。

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2010年7月 9日 (金)

「奇跡」を生む要素

昨夜は「芦田淳先生ご夫妻の奇跡の金婚式をお祝いする会」にお招きいただく@帝国ホテル。150名もの招待客。

芦田邸から50メートルほどのご近所という市川団十郎さん、女優の浅丘ルリ子さん、秋吉久美子さん、山本陽子さん、佐久間良子さん、高島礼子さん、星由利子さん、俳優の山下真司さん、西岡徳馬さん、辰巳琢郎さんらが、長く親しいおつきあいならではの芦田先生ご夫妻のエピソードを披露し、盛り上がる。最後は都倉俊一さんによるご夫妻への歌のプレゼント。

80歳でなお若々しくクリエイティブな仕事を続け、結婚50年を経てますます夫婦仲睦まじく、こんなにも多くの人々に祝福されるというのは、ほんとうに「奇跡」のようなことである。その奇跡は、並みならぬ努力と行動力、関わる対象への強い好奇心と深い愛情、周囲の人々に対する率直で熱い気配りの賜物でもあることを教えられた一夜であった。

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2010年5月29日 (土)

「描かれたいかなる空間も虚構である」

ゼミ生&小人数クラスの学生さんたちとともに「ボストン美術館展」@六本木ヒルズ森アーツセンター。

そろそろ空いている頃かな・・・と思って選んだのだが、けっこうな混雑。とはいえ、鑑賞の大きな妨げになるほどではない。17世紀の肖像画から宗教画、18世紀の風景画、19世紀の印象派、ポスト印象派、そして20世紀初頭のキュビズムの先駆けあたりまで。西洋の絵画の歴史(の一部)を概観できる展示としても楽しめた。

印象派が生まれた背景に、写真の発達(写実主義が無意味に)、チューブ式絵の具の開発、浮世絵の影響などがあったことを話しつつ、ディスカッションをしたのだが、私がまったく気づかなかった意外な着眼点を披露していただいたりして、とても「印象的な」学習の機会になった。美術展も、多人数で見ると味わい深さが違ってくる。盛り上げてくれた学生の皆さん、ありがとう。

クロード・モネが描いた風景の数々が夢幻的で、「あちらの世界」に吸い込まれそうな強い引力を感じた。夢に見そうである・・・。

タイトルに書いたことばは、ポール・セザンヌの「池」について書かれていた、図録の解説からの引用。

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2010年5月28日 (金)

教育とは、「卵をかえしてひよこにする」こと

ことばの解釈は人それぞれである。とくに英語の「ラテン語の語源」というところまでいくと、その原義から、その人の必要に応じて、いろんな意味をひきだすこともできる。

私もしばしば「大胆すぎる解釈」をすることがあるので、他人の解釈についても鷹揚である。必要に応じた解釈をすることで、その人の役に立つならばそれでいいではないかと思っているふしもある。

でも、あまりにも「俗説」が大きくなりすぎると、水をさすようで申し訳ないかぎりだが、ちょっとだけ、言っておいたほうがいいかな?と思うことがある。

たとえば、教育という意味で使われる英語educationである。いろんな先生方が、いろんな「壇上からのあいさつ」や「学校広報」で「education の語源には引きだすという意味があって、こどものよいところを引き出すのが教育だ」とお話されたり書かれたりしている。すでに100回は聞いたかもしれない(笑)。そう言われてしまうと「なるほどなあ」と思えて、とても「使える」話であることは理解している。

でも、いちおう、英語の語源に関する権威である寺澤芳雄先生編の『英語語源辞典』(研究社)に書かれている情報を、紹介しておこうと思う。

「ラテン語educareの原義は『卵をかえしてひよこにする』ことか。『児童の隠れた能力を引き出す』こととするのは俗説のようである」

寺澤先生はとても謙虚な方なので、「断言」を避けているが、語源専門家は俗説は俗説として見ているということである。

教育とは能力を引き出すこと。おおいにけっこうな解釈だと思う。反論する気はまったくない。でもその俗説をあまりにもとくとくと、なんのギモンもなしに声高に唱える人が、最近はスポーツ界の監督や会社の社長さんにまで増殖しているので、ちょっとうんざりしてきたまで。

無理に引き出そうとしなくても、ただひたすらあたためつづけて時を待つ(こっちのほうがたいへんな仕事だ)ことで卵はかえる、っていうこともあるのだ。

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2010年5月23日 (日)

古井戸を汲みつくすと新しい石清水がわくように

◇朝日新聞22日付、「磯田道史のこの人、その言葉」、大錦卯一郎の巻。

「打突り稽古で、根も力ももう是れ限りと思ふと、いつともなく不思議に新しい力が湧いて来ます」。

力士としては入幕以来の勝率は86%、早稲田大学の政経を卒業の後、実業でも成功、巨万の富を得て生涯を終えた人。こんなすばらしい人が日本にいたとは、知らなかった。

限界に挑戦することで新しい力がわく、という法則に納得。「つかれた~」といやになるのは、限界に挑戦してないで、なあなあで済ませようとした時である。「これ以上、ない」というほど仕事をしたり考えたりしたあとは、かえって心身が軽いことが多い。

◇朝日新聞書評欄に、小さく「モードとエロスと資本」が紹介される。小さいが(「←ちっちゃいことは気にしない、ソレワカチコワカチコ~」と次男がフォローしてくれる)。

感謝。

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2010年5月22日 (土)

ウィキッドなハンサム

◇ブランメルのことを話す必要に迫られて、あらたに調べ直していたら、2006年にジェームズ・ピュアフォイ主演でつくられたイギリス映画「ボー・ブランメル:この魅力的な男」が、ユーチューブで全部見られるようになっていたことを発見。約9分ずつ×9回分。でも画像は粗いし、音楽もセリフも不鮮明だし、もちろん字幕もついていない。著作権は大丈夫なのかとか気になり始め、かえってフラストレーションがたまる。リージョンコードがちがうDVDを買っても、日本のデッキでは見られないし。わざわざそのためにデッキを買うのもためらわれる。

この映画を字幕付きで、日本で発売してくれる太っ腹な会社はないものか。ブランメル伝説のエピソードが現代的な解釈でちりばめられた、一定のニーズは期待できる歴史映画だと思うのだが。

主演のジェームズ・ピュアフォイは、テレビドラマ「ローマ」でも、マーク・アントニーの役ででている。wickedly handsome と形容されていたが、なるほど、こういうところにも wicked を使えるのか。ちょっとワルくていたずらっぽくてイジワルな感じが、いっそうたまらなく心をわしづかみにするようなハンサム、っていうニュアンス? このひとはジェームズ・ボンド役の候補にもなっていた。結局ダニエル・クレイグに決まったけど、たしかにピュアフォイは007も似合いそうだ。

ピュアフォイの誕生日が6月4日、ブランメルが6月7日。二人とも私と近い誕生日で、ちょっとだけ嬉しくなる(単純)。

◇調べものの延長で、10年前に出した「スーツの神話」(絶版)という本のブランメルの項目を読みかえしていたら、なんだか他人が書いた文章のような気がしてくる。今ならこうは書かない、というアラばっかりが気になって、恥ずかしくなるやらいたたまれなくなるやら。でも当時はあれはあれで全力を出したつもりではあったのだ。10年で、社会も自分をとりまく環境も、文体(に対する好み)も、ずいぶん変わった。

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2010年5月21日 (金)

どこでなにがつながるか

◇本はいったん世に出たら「読者のもの」である。どこでだれがどのように読むのか、作者はコントロールすることなどできない。ときどき、思わぬところで意外な読み方をされていることを知り、驚くこともある。

たとえば昨日、中学校の同級生がひさびさにメールをくれたと思ったら『モードとエロスと資本』が20日付の某政党機関紙「赤旗」で引用されている、と(←GOKIちゃん、教えてくれてありがとう!)。一面のコラム「潮流」という欄で、引用というより、コラムの大半が本の紹介にあてられていた。私の生活圏にもっとも「ない」ものといえば政治色で、まさか政党の機関紙にとりあげられるなど夢にも思わなかっただけに、ちょっとびっくり(とはいえ、ご紹介いただき、感謝します)。

◇「ニューヨーク・タイムズ」の「Tマガジン」19日付で、「タイツをはいた男」の歴史。ラッセル・クロウの新作「ロビンフッド」にからめての記事だが、どうやら、ラッセルは観客の熱い期待にこたえず、タイツをはかなかったらしい(映画は未見なので、いったい何を着てロビンフッドを演じたのかは今のところ不明)。

で、備忘録までに、タイツ男の歴史。こんな男たちが紹介されていました。

・1537年 ハンス・ホルバインが描いた「ヘンリー8世」。

  この絵は私も大好きで、何度も引用! スカートとコッドピース、シルクストッキングでの脚線美、詰め物たっぷりの胴体は、チューダー・マッチョの極み。

・1922年 ダグラス・フェアバンクス主演の「ロビンフッド」。

 タイツとキュートなベストに帽子。

・1938年 エロール・フリン主演の「ロビンフッドの冒険」。

 グリーンのタイツとベルベットのケープ。現在のロビンフッドのイメージは、たぶん、このエロール・フリン版の緑のタイツで決まったのでは?

・1959年 「お熱いのがお好き」のジャック・レモンとトニー・カーチス

 女装だからな・・・。男らしさとしてのタイツ、という観点ではちょっとはずれる気も。

・1966年 「白鳥の湖」のルドルフ・ヌレエフ

 未見。一度見てみたいと思い続けている、男版の白鳥の湖。

・1978年 「スーパーマン」のクリストファー・リーヴ

・1993年 ケアリー・エルウィスの「ロビンフッド:タイツをはいた男」

 タイツ男に対し、ややからかいの調子も入る。

以上。それにしても、ラッセルのタイツ姿、観たかった~!

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2010年5月10日 (月)

流行は現場で起きている?

◇「サライ」6月号発売です。連載「紳士のものえらび」でコンウェイ・スチュワートの万年筆について書いています。機会がありましたら、ご笑覧ください。

◇この2週間ほど、連休中、出勤途中に観察して気になっていたこと。20代前後とおぼしき女性の、10人中7人ほどが、白いコットンのフルレングスのロングスカート(またはロングワンピース)に、デニムのボレロ丈ジャケット(またはデニムシャツを腰しばり)、という組み合わせの装い。このトレンドは、どこから発しているのだろう? ファストファッション系? 

また、ストッキングの着用率が著しく低いことも目に留まる。スカート(またはチュニックワンピース)の下には、レギンスまたはスパッツ。けっして肌色ストッキングなどではないのである。完全な素足でもない。肌色シャイニーストッキング(またはスジ脚強調の生足)は、「おばさん世代(?)」のみ。これって、どこ発のトレンドなのか・・・。

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2010年5月 5日 (水)

チャブ台の語源が

こどもの日ということで、次男のリクエストにこたえ、横浜・桜木町。Photo_2

新しい施設もオープンしていて、かなり混雑している。遊園地のお決まりコースをひととおりまわった後、横浜みなと博物館と帆船日本丸の探訪。いつも外から見るだけだったが、中まで入るのは初めてのことであった。

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思わぬ収穫も多かった。「ポンコツ」の語源がpunishment、「チャブ台」のそれがchop house、「ウワヤ」はwarehouseで、「ペケ」がpig。そんなこと夢にも思っていなかっただけにびっくり。博物館っていうのは、なにかしら、得るところがあるものだ。

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観覧車と日本丸とパンパシフィックに加えて鯉のぼり。なんだか「てんこもり」感を覚える。

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