2012年2月 1日 (水)

新しい建築ができれば、新しい服が登場する

延び延びになっていた『スーツの神話』の電子書籍版、仕上げに没頭中。ちょうど干支一回り前に出した「デビュー作」で(ブランメルに出逢ってしまい、資料を集めはじめたのは、さらに干支二回り前)、気負いもあってハズカシイところも多いのだけれど、そのときの熱気のままにしといたほうがいいのかな。とかなんとか迷いつつ改訂をすすめる。フリーで使える図版が増えたこともあって、図版を大幅に増やそうとしている作業の中で、「そうだったのか!」の発見も多い。

たとえば、チェスターフィールドコート。これが画期的だったのは、ヴェルベットの襟というよりもむしろ、「ウエストの切り替えがない」点。それまでのオーヴァーコートにはすべてウエストの切り替えがあった。

また、ロンドン大火(1666年)でロンドンの家屋の85%が焼失した後、木造住宅を禁止する規制が敷かれていたことも初めて知った。ペスト→ロンドン大火のあと、チャールズ2世が衣服改革宣言を出して「スーツのシステムが誕生」するわけなのだが、これまでは「災厄続きはだらしない宮廷への天罰。まず服装から改めるべし」というような視点でこの宣言をとらえていた。でも、それだけじゃあるまい。中世のロンドンが焼失し、新しい建築が増えて、それにふさわしい新しい服が着たくなった・・・てこと、あるかもしれない。

などなどの発見(アタマのいい方には「何をいまさら」なあたりまえすぎる事実)を加えてばかりいると遅々として進まないのだが、暑苦しいかもしれない熱気をそのまま+発見事項追加改訂バージョンを、近日中に、電子書籍の形でお届けしたいと思います。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月19日 (木)

「エレガントでエレファントな教育」に感謝

富山県高等学校長協会の集まりにお招きいただき、「仕事と学び」をテーマに講演。校長先生ばかり約70名の前で私みたいなのがお話をするというのは場違いではないかとの遠慮もあったが、先生方はさすがオトナ、にこやかに熱心に聴いてくださって、楽しい質問もたくさんいただき、充実した時間を共有することができて嬉しかった。ありがとうございました!

富山で小・中・高の教育を受けたことは、本当に幸運だった。先生方が全人格をかけて教育にあたっている(少なくとも私はそういう先生たちに恵まれた)。学校が自分で学ぶことの楽しさを教えてくれたおかげで、塾も予備校も必要なかった。数学の証明問題ただ一問で、60分ドラマのようなドキドキの授業を展開してくれる先生がぞろぞろいらした。elephant (ごちゃごちゃと数式を連ねたあげくの解)ではなく、elegant(考え抜かれた末の、シンプルな証明による解)をめざせという教えは、今の仕事にも生きている。教室の外の生活は常に騒々しくエレファントだったが、おかげで、心身ともにタフに鍛えられたような気がする。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月17日 (火)

お仕事バッグに男女の区別はいらないというトレンド

三越伊勢丹グループの紳士服販売担当の方々を対象にした研修で、紳士服の歴史に関するレクチャーをする。今年で3年目になるが、毎回、社員の方々のモチベーションの高さと熱心さに、こちらが刺激を受けてくる。

終了後に研修のマネージメント担当者と雑談していたときに教えられた売り場情報から、気になったこといくつか。

最近は、バッグの分野でメンズ・レディスの区別がなくなっている、ということ。たしかに、ビジネススーツ姿であっても、おしゃれめな男性は、ふつうにレディスの売り場で売っているような大きめの角型のバッグをもっている。男性誌も、女性用のビジネスバッグをお勧めとして紹介しているし、実際、荷物が多い男性編集者も、レディスのトートバッグを持っていたりする。

考えてみれば、お仕事仕様でもつバッグには、男女の区別はいらないんじゃないか。ラグジュアリーブランドではすでに境界はないところも多いが、百貨店の売り場でもそうした売り方をしてもいいのかもしれない。マーガレット・サッチャーの時代のように、どこかで「女性らしさ」や「男性らしさ」を主張しなくてはならない時代でもないのだし。(もちろん、バリバリに「男」や「女」を主張するバッグがあっても、当然いいとは思うけど)

もうひとつ。最近の若い人たちの結婚式では、男性は「黒いスーツに白ネクタイ」のガラパゴス・フォーマルなどムシして、思い思いにカラフルに装っている、ということ。若い人たちの結婚式に招かれることもなくなってきたので知らなかったが、事実だとしたら、よい傾向ね! フォーマルウエアに関しては、「何を着ればいいのか?恥をかかずにすむのか?」という不安をかかえて売り場にくる人が圧倒的に多いと思う。売り場主導でフォーマルの方向を導く(改める)ことの可能性の大きさを、考えさせられる。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月12日 (木)

スピリット・オブ・ユニティ

<「現代ビジネス」ブレークタイム>のホストをつとめる島地勝彦さんにお招きいただき、対談。ダンディズムや英国文化の話を中心に、最近の国内事情など話題は延々と尽きず。ラグジュアリーでマニアックな島地ワールド、シガーの香り漂うサロン・ド・シマジにて。

カメラマンは立木義浩さん。島地×立木のかけあいが、長年の信頼関係がないと決して出てこないであろう類のディープな親密さにあふれていて面白く、笑わせていただいたおかげでリラックスした楽しい対談になった。後日、同サイトにアップされます。お楽しみに!

サロン・ド・シマジならではの、レアなシングルモルトはじめ、限定もののブレンディッドも味わわせていただいた。右は、スコットランドの醸造所7か所のウィスキーをブレンドした「スピリット・オブ・ユニティ」。写真ではわかりづらいが、白い文字で「絆」と書いてある。震災後の日本を勇気づけるために作られた限定品で、売り上げはチャリティに。左はロイヤルウェディング記念ボトル。1982という年は、お二人が誕生した年。

1125

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月10日 (火)

「見つめあうのではなく、同じ方向を見ている」

「サライ」2月号発売です。連載「紳士のもの選び」においてチョコレートの話を書いています。おりしも「サロン・デュ・ショコラ」のシーズン真っ最中。来月はヴァレンタインデーもあるしね(こっちに関しては「フラワーヴァレンタイン」推進中だけど)。機会がありましたらご笑覧下さい。取材にご協力いただいた伊勢丹百貨店洋菓子バイヤー様に、あらためて感謝申し上げます。

以前のエントリーで触れた「ミセス」の食事チェックでは、栄養士さんから「コーヒーは体を冷やすから他の飲み物を」と指摘された。自分では冷え症とは思っていなかったのだけど、やはりコーヒーの飲みすぎはモンダイあるかなと思って、代わる候補を探し、数種の<あたため+刺激>系のお茶やドリンクを試してみた。

もっとも強烈だったのが、「ヴェーダ ヴィ」のジンジャーシロップ(ほかのメーカーからも同様な生姜濃縮シロップが多数出ている)。飲むと体の内側から熱くなって、ほんとうに汗が出る。血のめぐりもよくなる感じ。ただ飲み終わってしばらくすると、その反動で少し寒く感じるのはどうなんだろう。いいのか悪いのかよくわからない。

ジンジャーといえば、映画好きにとってはジンジャー・ロジャースなのだが。彼女の名言とされるフレーズ。

"When two people love each other, they don't look at each other; they look in the same direction." (愛し合っている二人は、お互いを見つめあっているのではなく、同じ方向を見ているものよ」)

| コメント (2) | トラックバック (0)

2011年12月27日 (火)

東京ジェントルマンのスタイル

「サライ」連載記事のため、「FAIRFAX COLLECTIVE」に取材。創業者の慶伊道彦さんに、ネクタイとシャツについてのお話をうかがう。

紳士のVゾーンについて、新鮮な見方を提示してもらい、笑いと驚き連続の、楽しい取材になった。ありがとうございました。

12276

アメリカントラッドを基本にしながらも、ヨーロッパのエッセンスや、日本独自のツイストを取り入れた「東京スタイル」。これが、NYやロンドンにも影響を与えていることを知る。詳しくは、本誌にて。

日本のジェントルマンのみなさん、自信をもって颯爽とがんばってください。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011年12月25日 (日)

「生地が求めているエスプリが聞こえる」

「JA magazine 」(アシダ ジュン 広報誌)97号発行になりました。

Ja_97

「ミス・アシダ」デビューから20周年を迎えた芦田多恵さんにインタビューして書いた記事「優しく、静かな革命家」を寄稿しています。機会がありましたら、ご笑覧下さい。

20周年、あらためておめでとうございます。

芦田淳先生のエッセイも毎号の楽しみのひとつ。今回のエッセイの終りの方にこんなフレーズがあって、心を動かされた。「生地と向き合うと、生地が求めているエスプリが聞こえるような気がして、何度でもやり直すことも多い。自分が創った服が、どうか愛されますようにと、さながら娘を嫁に出すような思いなのである」。

私自身は文筆業デビューしてから今年でちょうど30周年。もはや記憶も完全に正確ではないかもしれないが、ある旅行雑誌が募集していた「女子大生レポーター募集! 条件:スペイン語ができること」という文字に「本能」というか「直感」が反応したのがそもそものきっかけ。習いはじめて一週間そこそこしかたっていないスペイン語なのに「できます」と言ってしまったのも、若かったからこその勢いで。それで面接を通ってメキシコに連れて行ってもらい(これが初めての海外旅行になった)、未知の情報に触れ&書く、ということの面白さに完全に魅せられた。

経験や取材を通して「思い」が聞こえてしまうと、やはりそのエスプリを完全につかみとって伝えきるまで、何度でも書き直すことがある…。芦田先生のようなレベルとは比べ物にならないが。

途中で紆余曲折や中断もあったけれど、細々と地味ながら、ご縁に導かれつつ好きな仕事を続けてこられたのは、本当にありがたいことである。仕事を通して関わってきたみなさまと読者の方々にあらためて感謝します。…ま、クリスマスやし。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011年12月23日 (金)

強運を、品格ある成功のために活かすには

「25ans」2月号、26日発売です。「開運特集」に「”品格”こそサクセスの条件:成功するほど、人は謙虚に、寛大に、そして親切になるもの」というエッセイを見開きで書いています。私の日ごろの人生観(というのも恥ずかしい限りですが)みたいなものも盛り込みました。機会がありましたら、ご笑覧下さい。

「LEON」2月号発売。男のファーの是非について、長々と解説したのですが、「レオン」風にざっくりすっきりまとめられた一口ミニミニ解説になってます。これはこれで「間違ってはいない」のですが、はい(笑)。ファッション情報をややマンガ的に(?)楽しませるスタンスはずっと一貫してるのが、この雑誌の魅力ですね。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011年12月14日 (水)

ミカド・ボタン

アルマーニ×OPENERS の仕事。レイナさんにヘアメイクをしてもらい、西麻布のライブラリー・バー「テーゼ」でアルマーニの春夏のジャケット&スカートを着用して撮影。一日がかりだったけど、スタッフの皆様のきめ細かい配慮のおかげで楽しくあっという間に時間が過ぎた。ありがとうございました! フォトギャラリーに私のエッセイがついて、来年2月末にアップされます。

12141

「テーゼ」はツボにはまる本があちこちにたっぷりと置いてある図書館のようなバーで、とても心ひかれた。シングルモルトにアートな本。これ以上相性がよいものがあるだろうか。こんどは営業中にぜひ伺いたいと思います。

12143

着用したジャケットについていたボタンは、「ミカド・ボタン」と呼ぶそうである。棒状のボタン。ヨーロッパでは、あのポッキーも「ミカド」という名前で売られている。棒状のもの=ミカド。なぜに。

Almani_openers

上が「ミカド・ボタン」のジャケット。カッティングと素材がすばらしく、柔らかいのに着るだけで背筋がすっと伸びます。

◇以下パ―ソナル・メッセージ。これから白内障の手術を受ける友人に、励ましの意図をこめて贈ります。手術の成功を祈ってます。

http://www.youtube.com/watch?v=4E7XHOotTX0&feature=related

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011年12月12日 (月)

「強い印象を与える服を着れば、人生はずっとよくなる」

◇ヴィヴィアン・ウエストウッドに関するレクチャーをしていて気がついたこと。70年代のパンクの女王を「卒業」したあと、アート・歴史志向の「デザイナー」に移行し、そして21世紀は地球環境問題にも積極的に意見する社会派クリエイターへ進化した人、と漠然と理解していたのだが。'DO IT YOURSELF'を解くココロ、ブリコラージュ(ありあわせのもので間に合わせる、器用仕事)の精神は、パンク時代からずっと一貫して持ち続けている人だ。

意外なところに聴衆の反応が大きかった。ヴィヴィアンとマルカム・マクラーレンとの間の息子、ジョセフ・コレが創設したエイジェント・プロヴォケター(高級ランジェリーブランドです)のキャンペーン写真である。たしかに、エイジェント・プロヴォケターが作り出す世界は、私の好みのど真ん中ではあるが、眉をひそめる人も多いかもと思い込んでいた。日本では話題にならないし。

大好きな写真はたくさんあるのだが、そのひとつがこれ。エロティックで退廃的でリッチでゴージャス。中世の宗教画みたい。

Ap2_2

ヴィヴィアンの名言から。

The only reason I'm in fashion is to destroy the word 'conformity'.(「私がファッションの世界にいるただ一つの理由は、<調和>という言葉をぶちこわすためよ」)

You have a much better life if you wear impressive clothes. (「強い印象を与える服を着れば、人生はずっとよくなるわ」)

就活のために、無難な真っ黒スーツを着てみんな同じような規格におさまっている学生たちに向けて、暗黙裡に届けたいメッセージでもあり。

◇恒例のOPENERSメリーグリーンクリスマス、今年も参加しました。

http://openers.jp/culture/merry_green_christmas2011/02.html

| コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧