加害者と被害者の境界は
朝日文庫になった、吉田修一『悪人』上・下、帰途の新幹線の中で読み終える。
三面記事にしたら「出会い系で会った底辺の男女たちの殺人と逃避行」みたいな話として片付けられそうな事件だとしても、その当事者ひとりひとりに、かけがえのない人たちがいて、生きてきた歴史があって、深い心の傷がある。だれが被害者で誰が加害者かなんて、ばっさりと決めつけることなんてできない。人と人との関係を繊細に、正確に掘り下げて、紋切り型の答えなんか与えず、読後もずっと胸をしめつけ、考えさせる。タイトルも秀逸。傑作だと思う。原作者本人が脚本に参加している映画化版も、楽しみ。
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