校閲者にもっと脚光を
5月刊の新書、再校ゲラがようやく手を離れる。2008年夏から書き始めて1年間書きためたものを、3分の1に削り、さらに「物語」として書き直した。時間ばっかりかかってほんとに不器用なことである、とつくづく思う。世界初の21世紀ファッション史(そりゃあ、10年しかたってないし・・・)というのが裏テーマだが、タイトルは新書読者の男性向けに出版社の偉い方々が会議で決めてくださる。多くの場合、私の中からは到底出てこないような、大向こう受けするタイトルになる。
今回の校正さんは最強だった。初校のときの膨大な資料の山にも驚いたが、再校ではさらに細かいところまで徹底的に疑問を入れ、証拠を見つけてきてくれた。オウィデウスの長い詩の中から、ほんの1行の引用箇所を見つけてくれたときには、これぞプロフェッショナルな仕事だ、と心が震えるほどであった・・・・・・。顔も名前も知らないのだが(それが通例なのである)、感謝と敬意を送ります。校閲者も「署名」入りにしてもいいのではないかと思うのは、こういう仕事に出会ったときだ。
終わったと思ったら高熱が出て、多くの方にご迷惑とご心配をおかけしました。ごめんなさい。もう復活しました。広い世間から見れば、ほんとうにどうでもよさそうな本1冊なのだが、つくる方は命を削りとられる思いをする。ワークライフバランス、などというキレイな言葉が夢の国のうつろな言葉にしか聞こえない。「ライフ」が破綻していくばかりという気がする。著者だけでなく、編集者も。辞書を一緒につくった編集者は校了の日に倒れ、まだ入院中である。一日も早い快復を、毎日祈っている。
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