学問にも虚構性が必要
立花隆+佐藤優『ぼくらの頭脳の鍛え方』(文春新書)読み終える。ギモンをさしはさみたい意見もちらりちらりとあったものの、タフな知性の持ち主二人の刺激的な対談で、面白く読んだ。
とりわけ、学生さんにもぜひとも伝えておきたい、と思ったのが、占い本ブームに対する警鐘。細木数子はなぜ100%当たるのか?ということに対する解説が、わかりやすい。
佐藤「たとえば『このままの姿勢だったら、来年の5月。文春新書はスッテンテンになって、文春新書の編集者は地獄に落ちるわよ』と、こういう予言なんですね」
立花「そう、そう」
佐藤「来年の5月、編集長を更迭になっていたら、予言が当たったんです。ところが、編集長にとどまり、文春新書が当たっていたら、『私が言ったとおりに心を入れ換えたから、当たった』ということになって、やっぱり当たるんです(笑)。これは論理学でいうところのトートロジーですよね。彼女はトートロジーを作る天才なんですよ。『明日の天気は雨か、雨以外のいずれかです』という天気予報をしているようなものです。だから彼女の占いは100%当たる」
・・・と理性ではわかっていても、なんだか占いってついつい見ちゃうんだよなあ。今日をとりあえず生き抜く頼もしい言葉がほしいときって、あるのだ。だから上手にトートロジーを駆使できる占い師のことばは、当たるとか当たらないとかに関わらず、需要があるのだろう。
また、文学が実学だ、という佐藤優氏の見方には、納得するところあり。
「虚構性を学問(総合知)に取り入れる必要があると思うんです。言い換えると知的な基礎訓練を受けた人たちが、物語を読み解き、また場合によっては物語をつくることができるようになる必要があります。そうじゃないと、世の中で流通していることの物語性がわからなくなってしまう」
世の中を見て、そのなかで自分の立ち位置を探していくための鍵は、複雑な諸現象からいかに「物語」をつむいでいくのかというあたりにあるのでは、と思うことがある。
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