画餅的幸福
「ジュリー&ジュリア」。アメリカにフランス料理を紹介した50年前のジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)と、彼女の料理本のレシピ524を365日で再現してブログにアップするというプロジェクトを進めるジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)の人生が交互に描かれる。
悪人はでてこない、不倫も不道徳も悪行も描かれない、ひたすら善良で幸福で夫婦愛に満ち、食べる幸せと生きる喜びがあふれるお話なので、退屈になってもおかしくはない映画なのだが。ノーラ・エフロンの本領発揮で、精緻な細部を丁寧に積み重ねていくことで、上質なコメディに仕上がっている。カン高い声でしゃべる185センチの大女ジュリアを演じるメリル・ストリープは安心して見ていられるし、だんだん太っていくエイミー・アダムスもかわいい。彼女たちを支える夫役の、スタンリー・トゥッチ、クリス・メッシーナも、ちょっとした戸惑いや不快感の表し方まで巧い。とにかく食べっぷりがすてきである。スタンリー・トゥッチは、どこかで見たことが・・・と思っていたら、「プラダを着た悪魔」で主人公を変身させるあのヒトだった!
遠いところにある「絵に描いたモチみたいな幸せ」を見ているような印象も受けたが、それはまあ、完璧な幸福に満たされた彼女たちに対する羨望とウラハラかもしれない。おそらく「誰からも嫌われない」映画ではあろう。ジュリアもジュリーも実在の女性であるというのが、興味深い。ジュリア・チャイルドのことはもっと知りたくなった。
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コメント
メリルストリープ、なんか最近ますます凄いですね。
「プラダを着た悪魔」は、映画好きでない女子も観てますもんね。あの映画は、どんどん洗練されていくアンハサウェイに恋人が困惑するのが印象的でした。
あの作品でも、結局、メリルストリープは、善人でしたから、「誰からも嫌われない」映画でしたね。
投稿: たけい | 2009年12月28日 (月) 22時25分
メリルストリープ、作品選びも賢い感じがしますよね。ストーリーラインがしっかりしていて、前回とはがらっと異なる自分を見せられるような作品に、適度に出ている。(でも何を演じてもメリルストリープ、の域には達しているのですが)
「プラダ」では見ごたえのあるファッションの力も大きかったと思いますが、「ジュリア」では次々に繰り出される料理も見ものでした。ブフ・ブルギニヨン、ロブスターのテルミドール、カスレ、カモのパイ包みパテ、etc. 料理好きにはことにうれしい映画なのでは。
投稿: nakanokaori | 2009年12月29日 (火) 05時42分