キンパツにすると、誰も隣に座らない
◇大学後期最初の出講日。ゼミ生の男子一人が、キンパツになっていた。彼が聞かせてくれた「周囲の反応」というのが興味深かった。「キンパツにしたら、電車に乗っても隣に誰も座ろうとしないし、不良っぽい高校生とぶつかっても、向こうから<すいません>とあやまってくる。コワく見られるようになったみたいだ」と。ナカミは変わらないのに。人はかくも「たかが外見」に左右される。
◇予備校の代々木ゼミナールの広報誌を制作するスタッフ総勢5名が大学に取材にお見えになる。「ファッション文化史というのは、どのような学問なのか」という話を受験生向けの記事にするとのことで、できるだけ最新の具体例をまじえて話す。楽しんでいただけたらよいが。任期中に、ファッション文化論の面白さと存在意義を、ひとりでも多くの人に知ってもらうように努めるのも義務のひとつであろうと考える。フリーランスでいた頃は「わかってくれる人にわかってもらえればそれでいい」と気楽にいられたが、職責を預かると、そうもいかない。世のギモンに答える(respond)する責任(responsibility)が伴う。面倒なこともあるが、それを引き受けることで、こちらの覚悟もできて、目も開かれていくところがある。5年前にはそんなこと、見当もつかなかったが。
5年後、何をしているのか、これもまた皆目予想がつかない。
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