2012年1月27日 (金)

「ふつう」はないNYファッション業界

ダイアン会長がらみでもうひとつ。CFDAは、今シーズンの「ヘルス・イニシアティヴ・ガイドライン」を発表。2007年から出されているもので、毎シーズン更新されているらしいが、あんまり解決になってない(業界内の誰も従ってない)と見える…。気になった部分だけを大雑把に抜粋。

・摂食障害がいかにして起きるか、その症状、治療法などを学ぶワークショップをおこなうこと。

・16歳に満たないモデルを雇わないこと。撮影やフィッティングにおいて、18歳に満たないモデルを真夜中過ぎまで働かせないこと。モデルの年齢をIDで確認すること。

・喫煙やタバコの害に対する認識を高め、バックステージではそのような影響のない環境を保つこと。成年に満たないモデルにはアルコールを禁止すること。

逆に透けて見えるのが、モデルの若年化や拒食症、飲酒・喫煙などの問題がいかに広がっているのかということ。真夜中過ぎまで仕事するクレイジーな業界の内情。

若すぎやせすぎのモデルばっかり、という事態の反動みたいに「プラスサイズ」のふくよか(すぎる)モデルがヌードになってみたりとか。なんだかアメリカは極端。「ふつう」の中年モデルはいないのか。「ふつう」だと誰も関心を抱かない、というのはわかるけど。

↓CFDAの発表全文。

http://www.cfda.com/health-initiative-guidelines-updated-by-the-cfda/

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2012年1月26日 (木)

「赤いソール」裁判、第2ラウンドへ

ルブタンとサンローランの「赤いソール」をめぐる裁判は、まだ終わってなかった。

今週の火曜日(24日ですね)、CFDAの会長でもあるダイアン・フォン・ファステンバーグにつきそわれ、ルブタンが直々にNYの裁判所において訴える、というニュース。

発端は2011年の4月。サンローランがリゾートコレクションにおいて、ソールまで真っ赤な靴を発表したところ、ルブタンが商標権の侵害だとして訴えた。

ルブタンの弁護士は、「ルブタンの赤いソール」は「ティファニーのブルーボックス」と同じように、トレードマークとなっており、これが守られるべきだと主張。

が、サンローラン側の弁護士は、「オズの魔法使い」でドロシーがはいたルビーレッドの靴や、ルイ14世の赤いハイヒールなどの「前例」をもちだし、赤いソールはルブタンの独創ではないことを主張。

判事ヴィクター・マレッロは、ルブタンの訴えを退けていた。(ラウンドワンはルブタンの負け)

これで終わったわけではない。

今月はじめ、YSL側は、第2ラウンドに備え、11人の法律の専門家の支持を集める。「創造と競争の自由を守るために、ルブタンの訴えは退けられるべき」と。

ルブタンはルブタンで、「赤いソールはとてもパーソナルなもので、私の人生と、20年かけて築き上げた私の会社の本質にかかわるもの」という姿勢を崩さない。

YSL側は強力なプロフェッショナル弁護陣で備え、ルブタンはNYファッション業界の大物を味方につけて闘う。さて判決はどう出るのでしょうか。

↓ テレグラフの記事。

http://fashion.telegraph.co.uk/news-features/TMG9039046/Christian-Louboutin-and-Diane-von-Furstenberg-take-on-the-New-York-courts.html

↓ Fashionista.com の記事。ルブタンの言葉が「WWD」から引用されていますが、このサイトは有料なので、無料で読めるこっちをご紹介。

http://fashionista.com/2012/01/diane-von-furstenberg-sides-with-christian-louboutin-at-louboutin-vs-ysl-court-hearing/

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2012年1月25日 (水)

「服装で損をしたくない」

銀座松屋のカリスマ紳士服バイヤー、宮崎俊一さんの『成功する男のファッションの秘訣』(講談社)。

適正価格(7万円前後)の、価格以上の価値あるスーツを正しく選んで長く着る、というビジネス仕様に徹した目線。歴史的なうんちくも、著名人エピソードも、美意識の押し付けも一切ナシ。ただただ、ビジネスマンとして恥ずかしくない服を正しく選び、着こなすためのハウツーが伝授される。「着るもののこと以外に考えることがたくさんある」という多くのビジネスマンにとっては、たぶん、このスタンスがスーツに対する標準スタンスなんだろうな。プロのバイヤーから見た、よいスーツの見分け方など、参考になる部分も多い。松屋のオリジナルスーツの宣伝のにおいもちらほらと出てくるが、そのことも含め、「実用」に徹した本ね。

「価格以上の価値」「服装で損をしないための、最低限のルールを理解」ということばに、日本のビジネスファッションの「本音」を垣間見る思い。服装ごときでソンをしたくない。きわめて日本人的なメンタリティなのかもしれない(合う合わないは別として、そういう考え方にも、一理あると思う)。

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2012年1月24日 (火)

もはやメンズ・スカートに誰もおどろかない

メンズのコレクション・サーキットがひととおり終了して、すでにさまざまな媒体で写真が出揃っている。

概観して、記憶にひっかかったものは、「へん」なのばかり。これは正気か、メンズの未来なのか、それともただのエンターテイメントか、あるいはヤケクソか、笑いを狙ったのか、とにかく、現時点においては判断不能で黙り込むしかないようなルックがいくつかあって、その最たるものがジヴァンシー。とくに、モデルがみんな鼻に洗濯ばさみみたいなピアス?をつけていたのだが、これを笑わずに見ることがどうしてもできない。

Givenchy_2

でもデザイナーなりの考えというのが、どこかにあるんだろう。その説明がぜひ聴きたい。

メンズに影響力の高いトム・ブラウンは、もっとぶっとんでいた。もうスカート男子ルックにはだれも驚かなくなっているが、このバランスはいったい…。

Browne

今、この時点でこれを見たらみんな笑うんだけれど(あるいは、がちがちのコンサバティブなら「世も末」などと言うかもしれない)、この影響力が2年後ぐらいの現実のメンズファッションに及ぶ可能性は、全くないとは言いきれないのですよね……。

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2012年1月23日 (月)

モダン・ジェントルマンの振る舞い方指南

もう一冊、買ってしまったハウツーの類。

Phineas Mollod & Jason Tesauro, The Modern Gentleman, 2nd ed.  A Guide to Essential Manners, Savvy & Vice.

こっちのほうは、内面的なケイハツばっかりではなく、振るまい一般に関する現代的な助言とか基準みたいなもの。SNSにおける振る舞い方に対する助言まであるあたりが今っぽい。

フラーテーションとセダクションの違いとか、シーツの間における振るまい方とか、元カノとの付き合い方とか、なにもここまで、というような領域にいたるまで、紳士的な振る舞いに関する助言がいたれりつくせり。言葉遊びも多く、ムカシの名作からの引用も的確で、いろんな角度から楽しめる本ではある。

たぶん、この種の助言はかつてならば、近所や親戚のちょい悪おやじが一杯やりながら教えてくれたりしたんだろうけれど、今はそういう付き合いも少なそうだものね。

現代の社交事情が、逆に透けて見える本として興味深い。

この種の本の助言通りに完璧に振るまう紳士がふえれば、世の中はより平和で暮らしやすくなるだろう。でも、完璧な紳士がまったく魅力的ではないのは、いつの世も同じ。だから、この本の素直な読者が増えれば、恋愛したくなるような面白い男はますます減るんではないかな? と妙な心配をしてみたりする。

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