2010年3月 7日 (日)

「年齢も魅力のひとつ」

『恋するベーカリー』。原題は"It's Complicated"。ややこしくて、ほろ苦い話のはずなんだけど、危なかったり下品だったりするネタもまじえつつ、2時間ずっと軽やかに笑わせて、幸せな気持ちで帰してくれる。大人の芸当だなあ。

メリル・ストリープが60歳のラブコメヒロイン、ベッドシーンつき。たしかこの方が「マディソン郡の橋」で40歳のヒロインをやったとき、物議をかもしていた記憶がある。見苦しい、というようなヒハンも多かった。時代は変わって、40歳で現役は当たり前の世の中になり、60歳にして「マディソン郡」以上の生々しい恋愛模様である。アレック・ボールドウィンのメタボ+体毛もじゃもじゃの体型がコミカルな味を出していたのが、救いだったかもしれない。あと20年すれば80歳のラブコメヒロインだって出てくるんだろうか。メリル・ストリープが健在ならば、夢物語ではないようにも思えてくる。タイトルにした「年齢も魅力のひとつ」はスティーブ・マーチンがメリル・ストリープをほめて言ったセリフ(厳格に正確ではないかも)。

長女のフィアンセ役の、ジョン・クラシンスキーがとてもよかった。役者としていい、ということもあるが、なんといっても役柄がいい。映画の中でいちばん印象に残ったキャラである。家族の一員として、ああいう娘婿がいてくれると、安心だろうなあ、いてほしいなあと思わせる。お嬢さんをもつ友人が、いつも若い男性を「娘婿としてどうか?」という観点で見ていることを思い出した(笑)。娘婿として頼もしいこと。これからの男性に求められる資質のひとつかもしれん・・・。

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2010年3月 6日 (土)

キュビズム&アールデコ+洗練+冷たい官能+白日夢=レンピッカ

タマラ・ド・レンピッカ展@BUNKAMURA。

キュビズムの影響もうかがわれる幾何学的な力強さ。アール・デコ的洗練。深遠に引き込まれるような恐怖もはらんだエレガンス。冷たい官能。レンピッカの世界に浸り、しばし暗くて妖しい白日夢を見ていたような気分になる。

「緑の服の女」は、ただただ全身で感じるしかない迫力の美しさ。表現する言葉も浮かばないので、ストラップを買って、毎日眺めることにした(笑)。「イーラ・Pの肖像」、「カラーの花束」にも、鳥肌が立つようなこの世のものならぬ感覚せりあがってくるし、「タデウシュ・ド・レンピッキの肖像」の金属のような表面感と、結婚指輪をしていたはずの左手をあえて未完成にするという表現(その後タマラはタデウシュと離婚)の人間くささに、心をわしづかみにされる。

レンピッカがもっとも奔放に彼女らしい輝きを発揮したのが、20年代から30年代初め、という比較的短い期間。その頃の作品をもっとたくさん見たいと思ったが、点数がすくないのが悔やまれる。大不況期~大戦に入るあたりから、世の中の暗いムードが作品に影を落とし、彼女らしさが薄まっていく。経済はやはり芸術にも大きな影響を及ぼしているのだということを痛く実感する。

レンピッカの最盛期の作品は、誰とも比べることができない。一目見て「レンピッカ!」とわかる、誰もまねができない「レンピッカ印」が刻印されている。芸術を志すなら、めざすレベルは「とりかえがきかない」というレベルであるなあ、と改めて思う。

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2010年3月 4日 (木)

ファッションにおける「歯磨き効果」とは

英「テレグラフ」の名物記者ヒラリー・アレグザンダーが、アカデミー賞のレッドカーペットに向けてドレス選びの真っ最中の女優たちに対し、「トップ10ファッションルール」のアドバイスをおこなう記事(3月3日付け)。今年は、活躍した女優たちの年齢層も上がっていて、喜ばしいことなのだけれど、レッドカーペットドレスとなると、年齢による衰えも露呈させてしまう。おもにそういう「カンロクの」女優に向けてのアドバイスと受け取れたが、半分誇張、半分シリアス、の愛あるアドバイスで笑えた。面白い言葉にも出会ったので、紹介。

1、胸元に「歯磨き効果(The Toothpaste Effect)」を与えるな。

歯磨きペーストのチューブを真ん中でぎゅーっとしぼると、ふたつの塊がむりやりできる。1サイズか2サイズ下の、サイズが小さすぎるドレスを着た時にデコルテに生じるむりやりな効果がコレ、ということであるらしい。美しい谷間ならともかく、強引に作る胸の谷間はしょぼいばかりだからやめようね、という助言。Toothpaste Effectという発想に笑う。

以下、簡単に紹介。

2.後姿をチェックせよ

女優でさえ、VPL(visible panty line)=下着の線がくっきり、という問題が多発。

3.太股が限界

大胆にスリットの入ったドレスはいいけれど、ビキニライン近くのセルライトまでテレビに映るのはカンベン。

4、アンダーウエア

決してその存在を感じさせてはならない。下着なしでいけというのではなく、まるで下着の存在を感じさせないように、素材やサイズや色を選びぬけ、と。

5、武装せよ(Arm Yourself)

二の腕まわりがくたびれてきた女優は、いつぞやのヘレン・ミレンのように、シフォンやチュールのシュラグ(ボレロ風の肩だけ覆う上衣)に頼れ。

6.メイクアップは白日の下でチェックせよ

7.年齢に無理のない装いをせよ

退屈な話と聞こえるが、さすがにお嬢さんが着るようなドレスは、「大女優」には似合わない。

8.ウルトラヒール

はくのであれば、家で練習してくること。ペディキュアが完璧かチェックすること。リムジンのなかでほっとできるようなフラットヒールを用意すること。

9.ドレスの選択は正しいか?

スタイリストが選んだドレスを愛すことができなければ、やめること。着て、心の底から安心できるドレスを選べ。

10.スマイル

これが最高のアクセサリーである。

メリル・ストリープ、ヘレン・ミレンらのカンロクの大女優、サンドラ・ブロックら「若さとセクシーさで勝負しているわけではない」女優もオスカー候補になっている今年、彼女らがどんなドレスで登場してくれるのか、若くて何を着ても美しい女優以上に、楽しみ。

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2010年3月 3日 (水)

「地獄を体験しているなら、そのまま突き進め」

「世界のトップリーダー英語名言集 BUSINESS」(Jリサーチ出版)。CDつき。実用英語の本を作る企画の提案をいただき、ありがたいことと感謝しながら具体案が浮かばないのでなにかヒントになるかと見つくろってきた本の山のひとつ。ビル・ゲイツ、カルロス・ゴーン、ピーター・ドラッカー、リチャード・ブランソンはじめビジネス界で成功をおさめた人の英語が、「夢」「お金」「リーダーシップ」「困難」など16のテーマ別におさめられている。英語版ジコケイハツ本といったイメージ。

アメリカには「モチベーター」という職業があることを知った。人々をやる気にさせるための講演をしたり、本を書いたりする人ですね。そんなジコケイハツ専門家(?)であるジグ・ジグラーや、オグ・マンディーノといった人たちの言葉も紹介されていた。業種を超えて多くの人にアピールしようと思えばやはりこういう分野になるのは、どの国でも同じなんだろうか。

サイドエフェクトとして、錚々たるビジネスリーダーたちのプロフィル(の一部)を知ることができたのがよかった。レイ・クロックがマクドナルドを創業したとき、52歳だった。カーネル・サンダースがケンタッキー・フライドチキンを創業した時、65歳だった。年だから、なんて言ってる場合ではない。

'A man is not too old until regrets take the place of dreams.'「人は老いない。後悔が夢にとって替わるまでは」(俳優ジョン・バリモア)

'Money isn't the scarcest resource --- imagination is.'「金は希少な資源ではない。希少なのは想像力である」(ペインテッド・ウルフ社の共同創業者リンダ・イエーツ)

'When you're going through hell, keep going.'「地獄を体験しているなら、そのまま突き進め」(ウィンストン・チャーチル)

'Remember that failure is an event, not a person.'「失敗はできごとである。人ではない」(ジグ・ジグラー)

'When I was young I observed that nine out of ten things I did were failures, so I did ten times more work.「若かった頃、手がけることの10のうち9は失敗した。だから私はさらに10倍働いたのだ」(劇作家ジョージ・バーナード・ショウ)

ありがたくかっこいい言葉の数々は、たぶん、麻薬というかドリンク剤みたいに、そのときどきのモチベーターとして効果的なのかもしれないが、実際に「偉業をなしとげた」人たちは、地をはいつくばるようにして常人の10倍、20倍、それこそ「地獄を突き進む」ように闘ってきたのだということを教えられる。

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2010年3月 1日 (月)

ニッカーズ、流行するのか?

2010-2011秋冬ミラノファッションウィークが一通り終わる。最近はほとんどのブランドがyou tubeやHPでショウの模様やバックステージの様子を同時中継している。さきがけはドルチェ&ガッバーナだったが、今期もiPHONEに動画を流すなど、初めての試みをおこなっている。フロントロウの客として脚光を浴びるのも、若いファッションブロガー(なかには13歳もいる)で、彼らがツイッターやブログでほぼ同時にショウの模様をリポートするのがウケているらしい。訓練を受けたファッションジャーナリストの記事が活字になるころには、もう「ニュース」としての新鮮さはなくなっている。活字ならではの勝負のしかたが問われるような時代にきている。

コレクションの内容に関して、春夏にひきつづき、引っかかっているのが、ドル&ガバのニッカーズである。ショートパンツをさらに短くした、ブルマのような下衣である。中学生の体操服か?というような。イギリス英語でKNICKERSといえば女性用の下着をさすのだが、コレクションで発表されているKNICKERSは、もちろん、アウターとしてのもの。

ドル&ガバが春夏にこれを出してきたときにはかなりぎょっとしたが(ありえない!と思って)、秋冬にはさらにこれをテイラードジャケットと合わせるなどして、本気で提案している。ドル&ガバのHPでも、一押しのスタイルとして大々的にフィーチャーしている。http://www.dolcegabbana.com/

現に、レディ・ガガやビヨンセなどの女性アーチストたちはこれを臆せず着ている。思えば、長いトラウザーズをはいている女性アーチストが、いつのまにか見当たらない。ショートパンツ、さらにそれを短くしたニッカーズすれすれが目立つ。長い場合はタイツみたいなレギンスばかり。

今はありえないと思っていても、見なれてしまうと着てしまうのが、ファッションのおそろしさというか面白さでもある。ニッカーズの行方、要チェックである。

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